【ロシアの軍艦島】サンクトペテルブルク郊外・シュリッセリブルクのオレシェク要塞でピクニックしてみた・前編【要塞島のち牢獄島】
出典:https://starbeak.livejournal.com/101433.html
2019年7月、サンクトペテルブルク市内からバスで40分+船で10分くらいの場所にある、シュリッセリブルクのオレシェク要塞という離島に行ったのでレポートします。
オレシェク要塞とは
日本でいう軍艦島のような、廃墟となった建物を当時の姿のまま見学できる要塞島で、小石川後楽園にすっぽり入るくらいの、20分ほどで一周ぐるりと歩ける小さな島です。
ただ日本の軍艦島とは異なり、オレシェク要塞は14世紀の古代ロシア時代よりスウェーデンとのバチバチの領土争いを繰り広げてきた舞台で、帝政ロシア時代、19世紀の終わりごろに要塞としての使い道がなくなると、王政転覆を狙う革命組織をぶち込むための牢獄として再利用されるという、ガチ軍事要塞です。
ロシア革命と同時に刑務所の囚人は全員釈放され、島は博物館として生まれ変わったものの、第二次世界大戦時にはまたもやドイツ軍との激戦の舞台となり、島の建造物は激しく損壊してしまいました。
現在は一般公開されており、生々しい戦火の爪痕を間近で見学することができます。事前予約も不要なので、観光スケジュールが半日空いたな~なんて時の穴埋めにもおすすめ。境遇を含めロマンしかない激エモスポットなので、廃墟・歴史・城郭・ミリタリーがお好きな方が訪れても楽しめると思います。コスプレイヤーさんとかここで写真撮ったら超素敵だと思う。
サンクトペテルブルクの要塞島といえばクロンシュタット要塞や、ペスト実験で知られるアレクサンダー要塞が有名ですが、いずれも1700年~1800年代に建てられた近代建築要塞なので、2023年に創建700年を迎えるオレシェク要塞はぶっちぎりで歴史が古いです。
古ノブゴロド時代から始まり第二次世界大戦にいたるまでの、グラデーションに富んだ戦いの歴史ロマンを感じに、ふつうのサンクトペテルブルク観光とは一味違った小旅行をしてみましょう!
寒い時期はネヴァ川が凍っちゃうので、オレシェク要塞の公開期間は毎年5月~10月の期間のみ。冬のサンクトペテルブルク旅行では体験できない観光地なので、もしこの期間に訪れる予定がある方は、オレシェク要塞へもぜひ足を運んでみてください。
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営業時間:
5/1~10/31の期間、毎日営業。
平日10:00~18:00・土日祝日10:00~19:00。
※10/1~31の期間は平日10:00~17:00・土日祝日10:00~18:00。
入場料:
大人1人250ルーブル。
※ボート代の往復300ルーブルが別途必要。
オレシェク要塞 公式サイト:
https://www.spbmuseum.ru/themuseum/museum_complex/oreshek_fortress/shema_ore.php
ボート運航会社 公式サイト:
https://xn-----6kcabjtaga9c5apecoci7m.xn--p1ai/
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島内を散策した記事は後編をどうぞ。
サンクトペテルブルク市内からオレシェク要塞への行き方
オレシェク要塞は離島なので、ボートで渡るしかありません。公式サイトを見ると、ネヴァ川挟んで南側のシュリッセリブルク桟橋と、ネヴァ川挟んで北側のモロゾフ村桟橋の2か所からボートが出ているらしいんだけど、Gip Tripのサイトを見るとシュリッセリブルク桟橋からのほうが定期便がたくさん出ていてオススメらしいです。
Gip Trip:
https://giptrip.com/article/krepost-oreshek/
また、サンクトペテルブルク市内からシュリッセリブルク桟橋まで行くバスも、ウーリッツァ・ディベンカ駅(Улица Дыбенко)発着の575系統と、ルイバツコエ駅(Рыбацкое)発着の440系統の2か所から出ているらしいんだけど、575系統は15~20分間隔、440系統は30~45分間隔で運行しているようなので、ウーリッツァ・ディベンカ駅(Улица Дыбенко)発着の575系統で行くことにしました。
Городские маршруты:
575系統
https://www.24tr.ru/spb/route/1680/
440系統
https://www.24tr.ru/spb/route/1609/
私はゴスチニー・ドヴォール駅(Gostiny Dvor/Гостиный двор)のすぐそばのホテルに滞在していたので、地下鉄でウーリッツァ・ディベンカ駅(Ulitsa Dybenko/Улица Дыбенко)まで行き、そこからバスでシュリッセリブルク桟橋まで行き、そこからボートでオレシェク要塞まで行く、というルートにしました。
①地下鉄で、ゴスチニー・ドヴォール駅(Gostiny Dvor/Гостиный двор)からウーリッツァ・ディベンカ駅(Ulitsa Dybenko/Улица Дыбенко)へ
ゴスチニー・ドヴォール駅(Gostiny Dvor/Гостиный двор)で地下鉄3号線「ネフスコ-ヴァシレオストロフスカヤ線(Nevsko-Vasileostrovskaya/Невско-Василеостровская)」に乗車。
↓ 乗車時間6分。
プロシャジ・アレクサンドラ・ネフスカヴァ1駅(Ploshchad Alexandra Nevskogo-1/Площадь Александра Невского 1)で降車し、地下鉄4号線「プラボベレズナヤ線(Pravoberezhnaya/Правобережная)」のプロシャジ・アレクサンドラ・ネフスカヴァ2駅(Ploshchad Alexandra Nevskogo-2/Площадь Александра Невского 2)から乗車。3号線ホームから4号線ホームへの乗り換え時間3分。
地下鉄3号線のプロシャジ・アレクサンドラ・ネフスカヴァ1駅(Ploshchad Alexandra Nevskogo-1/Площадь Александра Невского 1)のホーム。看板に地下鉄4号線への乗り換え案内が書いてある!
地下鉄4号線のプロシャジ・アレクサンドラ・ネフスカヴァ2駅(Ploshchad Alexandra Nevskogo-2/Площадь Александра Невского 2)のホームの案内板。
↓ 乗車時間12分。
ウーリッツァ・ディベンカ駅(Ulitsa Dybenko/Улица Дыбенко)で降車。
ちなみにサンクトペテルブルクやモスクワの地下鉄は、早朝から深夜まで数分間隔で運行してるので、時刻表とか調べなくても大丈夫です。路線ごとに色分けしてあるし、路線名や駅名も英語表記があります!東京で地下鉄に乗るときと同じ感覚で使えちゃうなんて、そうとう便利。
しかもこれで片道運賃がどこまで乗っても55ルーブル(≒82円)。運賃も為替レートも2020年5月現在。都バスと同じで、1駅だろうと終点まで行こうと同一価格スタイル。旧共産圏すごい。交通費安い。
ちなみに乗り換え駅のプロシャジ・アレクサンドラ・ネフスカヴァ駅から徒歩3分の「アレクサンドル・ネフスキー修道院」には、ドストエフスキーやチャイコフスキーの墓地があるので、墓マイラーの皆様にもぜひおすすめ。ここ行きたかったなあ…今回行きそびれたので次は絶対行く。
②バスで、ウーリッツァ・ディベンカ駅(Ulitsa Dybenko/Улица Дыбенко)からシュリッセリブルク(Shlisselburg/Шлиссельбург)へ
ウーリッツァ・ディベンカ駅の駅舎から外に出てバス乗り場を探すも、これが結構わかりづらい。駅舎を出ると目の前にこんな感じの広場があります。
ここからちょうど左後ろを向くと、シュリッセリブルク(Шлиссельбург)行きのバス停が見えます。
地図上だとこのへん。★マークが撮影場所で、〇で囲っているのがバス停。
Google mapのスクショ画像を載せようと思ったけどGoogle先生が怖いので自作。わかりづらくてごめん。Google mapで「Ulitsa Dybenko Station」で検索すればヒットするので脳内補完をお願いします。
あった!このバス停だ!
バス停の看板にも、バスの行先表示にも、「シュリッセリブルク(Шлиссельбург)」、「575」系統の文字が。シュリッセリブルクとウーリッツァ・ディベンカ駅を往復しているバスなので、帰りもこのバスに乗って帰ってくればOK。
ちなみに英語表記はないので注意。ロシアの中でも、モスクワとサンクトペテルブルクってめちゃめちゃ英語が通じる都市なのですが、ちょっと郊外に出たとたんに英語表記や英語話者が少なくなります。
なので、バス停の位置が分からなくなった場合は、「シュリッセリブルク!クレポスチ・オレシェク!(ロシア語で「オレシェク要塞」)」と聞けばバス停まで連れて行ってくれるはず。
日本での知名度は低いけど、現地ではオレシェク要塞はそれなりに知名度の高い観光地なので、「あ~はいはいオレシェク要塞ね、シュリッセリブルクの。」って感じですぐにバス停に案内してもらえました。
始発7:00~終電23:30、15~20分に1本の間隔で運行。確かにバス停に着くとすぐ乗れました。運賃は忘れちゃったけど、確かオレシェク要塞の公式サイトにも書いてある片道70ルーブルだった気がする。2020年5月の為替レートでおよそ105円。36kmも距離あるのに。東名高速で東京から厚木までが35kmって考えると移動距離に対するコスパ良すぎ。
所要時間は、ウェブサイトだと片道最大110分って書いてあるけど、私が乗った時は平日の昼間で道が空いてて、行きも帰りも片道40分程度でした。ロシアは交通渋滞が多いので、道が混む時間帯に渋滞に巻き込まれると最大2時間弱くらいかかるのかもしれません。東名高速と同じだね。
Городские маршруты:
575系統
https://www.24tr.ru/spb/route/1680/
オレシェク要塞 公式サイト:
https://www.spbmuseum.ru/themuseum/museum_complex/oreshek_fortress/shema_ore.php
シュリッセリブルクは終点なので、乗り過ごす心配もなく安心♪
ただ、私が乗った時は乗客も少なく身の危険は感じませんでしたが、ロシアは公共交通機関でのスリがめちゃめちゃ多いらしいので、移動中の居眠りはあまりオススメしません。眠くなったら、地下鉄では味わうことのできない車窓からの風景を楽しみましょう。
日本ではほぼ見かけないロシア車「ラーダ」や、日本の団地をさらに密集&巨大化させたような集合住宅「フルシチョフカ」など、車オタク・団地マニアにはたまりません。ペテルブルク市内の中心部とは町の雰囲気がガラッと変わります。
そうこうしているうちに、シュリッセリブルクのバス停に到着。「え?ここ?」って思うような道端で降ろされますが、数分歩けばボート発着場所の桟橋へ到着します。
これもGoogle先生が怖(以下略。でもこの地図はYandex mapをベースに作成。Google先生はアメリカ企業なので、ロシアに関する情報はYandex先生のほうがやっぱり詳しい。Google mapにはないバス停の位置まで分かって便利。Yandex mapに「Sobor Blagoveshcheniya Presvyatoy Bogoroditsy shlisselburg」で検索すれば上記エリアのカザン礼拝堂のあたりがヒットします。
バスを降りると、左手にピンクの礼拝堂、「カザン礼拝堂」が見えてきます。むっちゃかわいい。でも写真撮り忘れた。
出典:File:192. Шлиссельбург. Казанская часовня, 1864 г.JPG - Wikimedia Commons
そのままカザン礼拝堂を通り過ぎると、大きな交差点があるので、横断歩道を渡り直進します。
ロシアでは、信号のない横断歩道では歩行者優先なので、ほぼ必ず車が止まり道を譲ってくれます。日本みたいに車が通り過ぎるのを待っていたら、ドライバーに「お前何ぼーっと突っ立ってんだ」みたいな不思議そうな顔をされたので、車が止まってくれたら速やかに横断しましょう。
以前、割と広めな横断歩道がない道路をダッシュで横切ったところ、ウィンドウ全開にしてマジギレされました。そりゃそうだ。ほんとごめん。大通りは地下通路が多くて横断歩道が少ないのですが、どんなに急いでいても決められた場所を歩くと決心。
少し歩くとすぐに、川にかかる橋が見えてきますので渡ります。看板にもロシア語で「オレシェク要塞」の文字が…!
橋を渡りきると、目の前にスーパーマーケット「ジクシ」(Дикси)が見えますので、左折します。
直進すると右手に大きい駐車場が見えてくるので、さらにそこも通り過ぎると、一番奥のつきあたりにピョートル1世の銅像が建っている小さい公園が見えてきます。そこが船着き場!
ついた!青いボックスがボートのチケット売り場です。
振り返ると、ピョートル1世の銅像。ピョートル1世は1702年にスウェーデンからオレシェク要塞を奪還した人。つよそう。
写真の奥に映っているスーパーマーケットの屋内にキレイな有料トイレがあるので、チケット売り場横の怖~い有料公衆トイレを使わなくても大丈夫。
③ボートで、シュリッセリブルク(Shlisselburg/Шлиссельбург)からオレシェク要塞(Oreshek Fortress/Крепость Орешек)へ
チケット売り場で乗船チケット券を購入。英語表記が無いのでYandex先生に翻訳してもらう。
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フェリーチケットの費用(往復)
運行間隔20~30分
大人 300ルーブル
学生 200ルーブル
退職者 200ルーブル
生徒 150ルーブル
7歳未満 無料
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博物館(オレシェク要塞)行きの最終便
平日:17時
土日祝日:18時
博物館(オレシェク要塞)からの最終便
平日:18時
土日祝日:19時
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これと言って時刻表も見当たらないし、便を逃すとまた30分待ちぼうけなので、チケットを購入しゲートの近くで出航を待っていたところ、乗客が並び始めたので私も並びました。
するとゲート係員のお姉さんが私を見るなり引き止めました。
お姉さん「Группа?!」
私「(ぐるっぱ…?グループ客かどうかって意味か…?)No」
お姉さん「(ならば貴様は後回しだ。団体客の乗船が終わり次第、空席があれば乗船できる。横で待っていなさい。)」←みたいな意味であろうロシア語&ジェスチャー。
私「OK」
そうです。あとから並びに来た人たちは団体客だったので、優先的に乗船する権利があったようです。アジア系なんて私ぐらいしかいなかったからすぐバレた。
そして見るからに外人でロシア語話せなさそうな私相手にも、普通にロシア語で話してきます。英語で説明なんておもてなし、サンクトペテルブルク郊外では期待してはいけません。そもそもロシアでロシア語を話せないほうが悪いよね。でもロシア人って不器用だけど、みんな親切で優しい。大好き。
団体客が乗船後、無事私もボートに乗ることができました。ボートといってもそんなに小さな船ではなく、2階建てで50~80人くらいは乗れるんじゃないかな?ボートの外観はこんな感じ。↓
ボート運航会社 公式サイト:
Режим работы Крепости Орешек - Переправа в Крепость Орешек
出航後、10分弱で島に到着します。いよいよオレシェク要塞へ上陸!島内の様子は後編に掲載していますので、そちらもぜひご参照ください。
体験記は2019年7月時点のものなので、コロナ禍中やそれ以降、営業時間や運行便数の変更・運休があるやもしれません。そもそも渡航中止勧告が出てるから、しばらくみんな海外旅行なんてしないだろうけど。
コロナが収束して世界が日常を取り戻し、問題なく海外旅行ができるようになったら、各施設のウェブサイトで最新情報をご参照いただき、ぜひ訪れてみてください!
日本から行くのは無理でも、サンクトペテルブルク在住の方で近場のレジャーが解禁されたときにもおすすめ。
Naru Marina
※出典の無い画像はすべて筆者撮影・作成